8ビット箱

Ensoniq Mirage

Ensoniq Mirage

個人的に「初めて手にしたサンプラー」といえば、このEnsoniq Mirageと言いたいところだけど、実のところCasio SK-1だったりするわけで。まだ中学生で毎月もらっていた小遣いだけではSK-1を買えなくて、何気に貯めていた正月のお年玉を切り崩して購入。それが最初のサンプラー。ただ単に鍋を叩いた音とか、「あー」って自分の声をサンプリングして遊んでたくらい。これで曲を作るとかも全くなくて、そもそも中学生の時は自分で曲を方法も知らないし。マイコンBASICマガジンに載っていた(別冊付録だったかな?)ゲームミュージックの楽譜を見て、ちょっと弾いたりとかそういうのを。高校生になったとき、初めてCasio CZ-100っていうシンセを購入。(毎月の小遣いで支払えるローンで……めちゃくちゃ長かった。)

その時に思ったのが「リアルな楽器の音も一緒に出せたらいいのにな」と。

近くの楽器屋へ行って、何かいいのあるかな?と店内をウロウロ。そこで目に飛び込んできたのが、中古で売られていたEnsoniq Mirageのキーボード版「Mirage DSK-8」。Casio CZ-100と違って筐体は金属製のガッチリした作り。定員の人にアメリカのメーカーと聞いて、この時点からアメリカの楽器は全部ガッチリした作りなんだという思い込みの始まりにも。そこで初めてMirageの音を聴かせてもらったのは、よくあるオーケストラヒット。でもこれがあまりにも感動的で、一瞬でこのMirageに惚れ込んでしまうことに。ただ、中古でもそこそこ高かった。確かそのとき、8万円くらいだったと思う。CZ-101のローンも抱えていても、どうにもMirageを手に入れたい。半日くらいお店の中で悩んで、更にローンで購入決定に。

もうアルバイトするしかない。

翌日、宅配便で自宅に届いたEnsoniq Mirageキーボード。延々とオケヒ鳴らす毎日。もう1つものすごく好きな音は、ストリングスと、Rack Bellという音。その時、MIDIシーケンサーは未だ持っていなくて、Mirageに搭載していた簡易シーケンサーで記録して遊んでた。何となく、適当に弾いていると「音楽っぽい」曲になったりもして、徐々に「曲になった気のする何か」を作るようになった。

「作曲する」というのを始めたのはこのタイミングかも。

SK-1ではできなかったことが色々できるMirageだけど、今一つサンプリングの使い方がわからない。とりあえずおまけでつけてくれたサンプルライブラリをひたすらロードして弾いて遊ぶ毎日。この2桁LEDで表示される数字で操作するみたいだけど、マニュアル見てもよくわからないし。SK-1のワンショットサンプリングしか理解できていない脳では、ループとか、サンプリング周波数とか、マルチサンプリングとか、完全に異次元。

時間が経つと、完全にベースギターの虜になっていて、いつの間にかシンセやサンプラーに対する熱も無くなってしまってた。正確にいつだったか忘れたけど、その辺りでMirageを手放してた。

Ensoniq Mirage

それから15年くらい経過した後、eBayを何気に見ていたらラック版「Mirage DMS-8」を発見。そもそもMirageにラック版があることを知らなかったから、これを発見した時は驚いたし、Mirageキーボードを買ったときの感動が蘇ってきて。オケヒとかストリングスとかの音も、鮮明に思い出せて。

そういえば、Mirageの音って、他のサンプラーとかDAWのバーチャルインストゥルメントでは全く出せてない音だなということにも気づいて。Mirageに出会った頃から、ずっと頭の中にある「奏でている音」は当時のまま進化していない脳だったから、時代が進んで、音楽の「音」も変化しているのについていけていない自分。だからこそ、やっぱりあの音をもう一度取り戻したい、という思いも強くなって・・・迷わず入札&落札。

届いたラック版Mirageはフロッピーディスクドライブが調子悪くて、ディスクからロードできない代物だった。経年劣化は避けられないという考えはあったから覚悟していたけど。そこでまたeBayを使って、交換できるディスクドライブを探してみたら発見。わりと普通に出品されてる。しかも新品。今後のことも考えて、念のために2台購入して、そのうちの1台を使って交換。完璧に動作して復活。

Ensoniq Mirage

ただ、おまけで付けてくれたディスクは純正のものではなくて、その人が今までサンプリングしたギターの音とか、そういうのばかりで。あのオケヒ、あのストリングス、そしてRack Bellの音が欲しい……となって、ネットを探してみると、純正ライブラリを「新品」で販売しているSyntaurというお店を発見。既にEnsoniqというメーカーは無くなっているし、いずれ手に入らなくなるという予感もして、全種類を購入。今、久しぶりにこのお店のサイトを見てみると、既にライブラリは売っていない感じ。あの時の判断は間違っていなかった……と思った2021年の残暑の真っ只中。

Mirageは今となっては超ローテクな8ビットなサンプラー。最大同時発音数は8音、アナログのフィルター、サンプリング周波数は33kHzで、電卓みたいなキーを使って操作。画面はLEDの2桁数字表示のみで、操作性は恐らくサンプラー史上最悪かも。これでサンプリングした音は、なんでもかんでも、全て独特な「Mirageの音」になってしまう。ローパスフィルタをエンベロープで絞るとかなり独特。あまりADコンバータが良くないんだと思うけど、そのおかげで避けられないノイズの音もまたいい感じだったりも。ちょっと珍しいこのISF-1っていうのもあって、これを使うと少しノイズが減って、サンプリング周波数が最高50kHzまでいけてしまう(ちなみにMASOSっていう拡張版OSが必要だけど)。個人的にはMirage本体でサンプリングしたノイズの音が味わい深くて好きだから、このISF-1はほとんど使わない状態。

Ensoniq Mirage

過去には今まで他のサンプラーも持っていたけど、今はMirageだけが手元に。ちなみに今まで持っていたサンプラーは、Enosniq Mirage DSK-8、EPS、EPS16+、EPS16+ Rack、E-mu Emax Rack、Akai S900、S1、Casio FZ-20M(海外モデル)、そして最初に買ったSK-1。どれもちょっとクセのある音で好きだったけど、パソコンで音楽するのがメインとなって今はもう使わなくてもいいかな、ってなってしまった。Mirage DSM-8も今はほとんど使わなくて飾りに近い状態で、何度か手放そうかと考えたこともあったけど、今も健在。ちゃんとディスクも読み書きできるし、サンプリングもできて、MacintoshのAlchemyを起動して繋ぐとそれで波形も編集できる。ちょっとボリュームスライダーはガリ出てるけど、大した問題ではなくて、全然だいじょうぶ。現在公開しているHouse-eeyの曲では、Casio SK-1を除いて、今まで使っていたサンプラーで鳴らしているものもあるから、徐々にそれは個別にブログで書いてみようと思ってる。

最近困っているのは、2HDではなく2DDの「まとも」なフロッピーディスクが今では手に入りづらい状況。2021年、そもそも2DDのフロッピーディスク探している人なんて、あまり居ないとは思うけど。試しにオークションなどで見かける2DDディスク買ってみたりするけど、半分以上が粗悪品で最初のフォーマットさえ失敗する状態。ちょっと希少なオールドストック物のTDKやマクセル、Sonyのフロッピーディスクだと全く問題なく読み書きできるから、ディスクドライブ自身には問題が起きていると思えない。SDカードを使ってFDエミュレートするやつに交換した方がいいのかもしれないけど、フロッピーディスクのライブラリは使えなくなってしまう。それは本当に最後の最後、最終手段として、まだまだ先の話になりそうな気が。そうなる頃に、Mirageがまだ手元にあるかは定かではないけれど……。

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